ウーマンラッシュアワー新ネタ漫才ライブ「漫才を超えた漫才in大阪」
11月2日夜の大阪中央公会堂でのウーマンラッシュアワーの単独ライブ「漫才を超えた漫才」を観に行きました。
（まだ全国ツアーの途中であり、このエントリではいくらかのネタバレも含むため、今後の公演に行かれる予定のある方は続きは読まないで、できるだけ先に何も情報を入れないで楽しめれることをオススメします。）
「ウーマンラッシュアワーの漫才」といえば何を連想するかは人それぞれだとは思うんですが、自分はM-1やTHE MANZAIの時代にやっていたような（そして今でも劇場でもやってるような）めちゃくちゃ作り込んだ構成、早口でたたみかける村本さんの練ったフレーズ、そしてそのスピードに翻弄されながらついていく中川パラダイスさんのツッコミ、みたいなのを想像していて、またああいうタイプの新ネタを作っていくのかな、と思っていて結構楽しみにしていた。
最近は何かと「よく炎上する人」と「とにかく人間がヘンな人」みたいになってる二人だけど、まだまだ賞レースの最前線にも負けない、超一流の漫才師であることもアピールしていく、みたいな。
そうしたら始まってみたら意外と、今回のライブは60分ノンストップで1本のネタをするという。それも「○○をやってみたい」的な数分のネタの連続じゃなくて、終始ほぼ時事ネタで、まるで爆笑問題やナイツのようなスタイル。
それでも爆笑問題やナイツの後追いのようには全然見えないのは、センターマイクに全然戻らずに舞台を左右にフラフラと歩き回りながら、世間のあらゆる物事に自分の理屈で言葉を並べまくりながらひたすら毒づき倒していく村本さんを、ひとりずっとセンターマイクの前から動かずにマイペースでなだめたりツッコんだりする中川パラダイスさん、という図式があまりに独特すぎた。
かつてのバイトリーダーや、相方を紹介したりお互いの悪口を言い合うネタのように、一言一句をカッチリ決めている感じでもないし、「こんな構成、今まで他で見たことなかったー！」と思うような、ネタ好きの心を刺激されるような斬新な構成でも特にないけど、それでもやっぱりこの二人が舞台の上で喋ったら、ちゃんとウーマンラッシュアワーの漫才になっていた。今までは圧倒的なネタの質で勝負していた人たちが、今度は人間の部分で漫才をするようになっても、やっぱり面白いなって思えて、それはそれで凄く良かった。
そして時間の最後に、少しだけ時事ネタではない、テレビのネタ番組や賞レースでやるようなタイプの漫才の新ネタ*1もやってくれたけど、これも今までのテレビや賞レースの時のような、完璧な構成や熱量で見せるタイプじゃなくて、村本さんもちょっとネタで遊びすぎてる感じ*2とか、中川パラダイスさんも信じられないくらいヒドいところでネタを間違えて、ふたりして舞台でくずおれてしまったり*3、その後でも平気でネタを飛ばしても全然動じないで村本さんも呆れてしまうところとか、そんなのも全部込みで凄く面白かった。
これからもテレビや劇場でもずっと漫才はしていくだろうし、今後はどういう方に漫才がシフトしていくのか、今回は今回だけでこういう感じなのか、それとも、なのかはまだ判らないけど、今夜は今夜ですごくいいものを観たな、って思えた。
結局、開演から約75分くらい、村本さんがこの長い漫才にオチをつける超長いフレーズを早口でまくし立てて、それに対するパラダイスさんの「もーーー無理！！！！」が出て終演。
そして終演後の追い出しのBGMは真心ブラザーズ「マイバックページ」でした。
開演前のBGMはジョン・レノンで、ジョン・レノン→「拝啓ジョン・レノン」→真心ブラザーズ、という連想ゲームだったのか、それとも、終演後の方ありきの逆算だったのか。
白か黒しかこの世にはないと思っていたよ
誰よりも早くいい席でいい景色が見たかったんだ
僕を好きだと言ってくれた女たちもどこかへ消えた
あの頃の僕より今の方がずっと若いさ
自尊心のため無駄な議論を繰り返してきたよ
英雄気取りで多数派の弱さを肯定もしてきたし
僕を素晴しいと言ってくれた男達も次の獲物に飛びついた
あの頃の僕より今の方がずっと若いさ
（歌詞から一部抜粋しています）
自分はウーマンラッシュアワーはそんなに前からライブとか追っていたわけじゃなくて、むしろ去年に村本さんがANN1部をやってた頃から急速に惹かれているクチだけど、なんかずっとこの感じ（＝すごく楽しかったライブの後にこういう歌で送り出してくれる感じ）、最後の最後までただただ「幸せ」って気持ちだけにはしてくれない、どこまでいっても自分自身にも、自分に近づく人にも、心の底でいくらか醒めている感じが僕は逆に惹かれるし、信頼できるなって思ったりする。
今AbemaTVで土曜にやってる「TheNIght」とかもメチャクチャ面白いと思うし、ひかりTVで配信が観られる中川パラダイスさんの単独トークライブも相当頭がおかしくて笑ったし、色々とこれからもついていきたいと思う、自分にとってはそんな人達です。
