「人志松本のすべらない話プレミアムライブin尼崎」の記憶

あましんアルカイックホールで4月29日に行われた「人志松本のすべらない話PREMIUM LIVE supported by uP!!!」を観に行きました。

既にお笑いナタリーでも記事が出ているし、各人の話の詳細なども色んなブログなどで紹介されるとは思いますが、個人的な感想などを備忘録がてら残しておきたいと思いまス。

 

◎ 会場・チケットについて

・今回の「すべらない話」の全国ツアー*1はタイトルに「supported by uP!!!」と銘打たれているように、auとチケットぴあによる新しいチケット販売サイト「uP!!!」が協賛として関わっており、チケットの販売も

1. チケットよしもとプレミアムメンバー先行

2. uP!!!先行(=おそらく、auスマートパス会員専用)

3. よしもとID一般メンバー先行

4. 一般発売

の順に行われるようです。自分が申し込んだのは2.のauスマートパスからのuP!!!先行だったんですが、それでも当選した席は1階席が約1350席、2階席が450席の会場で1階席の後ろから2列めの席でした。おそらく大半数が1.から2.の段階に回されているのではと感じられました。今後の公演を狙っている方は、よしもとプレミアムかauスマートパスの会員になるか、当日券*2を狙うのが安全かもしれません。

・そんなわけで会場のあましんアルカイックホールですが、計1800席と非常に大きな会場ながら、後ろになるにつれ席の位置が高くなっていることもあり、ほぼ最後方からの鑑賞になりましたが非常に見やすく、特に不自由は感じられませんでした。舞台には、いつもと違う横長のテーブルに出演者の6人が横並びに座り、その上には大きなモニターがあり、話している最中の出演者や客席の表情、サイコロのアップなどが映されており、そういう面でも十分に「遠くからでも楽しめる」感じでした。

・また、会場内は物販ブースがあり、DVDやTシャツやサイコロ?に長蛇の列ができ、飛ぶように売れていました。ちょっと本当に大きな列だったので近づけなかったので詳細は確認できませんでしたが、コレクターの方はちょっと多めの予算を持っていったほうがいいかも。

 

◎ 客席が総立ちになるお笑いライブ

開演時間の17時になる数分前。聞き慣れた若本規夫さんの声による開演前の諸注意のナレーションが流れ、早くも客席の雰囲気が高まっているのを感じます。

続いて開会宣言。一人の女性が舞台に現れ、誰?と思っていたら、モニターに「尼崎市長 稲村和美」の文字。市長が出てくるライブ!

長すぎず短すぎず、美しいスピーチと、最後の「それでは人志松本のすべらない話、プレアミム…」という噛み方で今日最初のひと笑いが起き、滞りなくライブがスタートしました。

ライブ用に新たに制作されたオープニング映像が流れる。こちらもテレビ版同様、レニー・ハートさんによる出演者一人ずつの呼び出しが流れ(出演者はまだ舞台には出てこないのですが)、最後に若本さんと二人で合わせての「人志松本の~」というタイトルコールが入ってシメる、っていう編集はかなりカッコよかった。

その直後、横の客席ドアが開いて入ってくる今回の出演者6人。すげー!松本人志が目の前に居るぞー!みたいな興奮がどうにも抑えられないし、客席全体も「うおおおおおおおおおお!」みたいなどよめきと共に、なんか全員総立ちになって出演者が舞台に上がるのを見届けていました。でも仕方がない。どうしたってそれくらい興奮はします。

そこからは松本さんを中心とした軽いオープニングトークと出演者の紹介、今回の出演者陣(敬称略で松本人志千原ジュニア宮川大輔兵動大樹小籔千豊宮迫博之)の中で唯一「そんなにすべらない話のイメージがない」とイジられた宮迫さんと、それでも選ばれた経緯などの話もありつつ、そんなにオープニングに時間も取らずに、改めて「すべらない話」のシステムの紹介に時間を割くでもなく、出演者がテーブルにつき、かなりシンプルに本編が始まっていきます。

 

◎ 拍手と、「すべらない話」とは、みたいな

いちばん最初のサイコロの出目は「★」。今回のルールとして、★が出た際は任意の出演者か、あるいは客席に控えている大阪の芸人さん*3から選ばれることになっていましたが、最初の最初ということでここは松本さんからのスタート。オープニングトークでも「今日はテレビではないので、テレビではちょっと出来ないタイプの話もやりたい」と言われていたとおり、なかなかテレビだと色々とうるさい人が倫理的にどうこうと言いそうな類の話を披露。少年時代特有の、アホみたいなおもしろみもおかしみも切なさも、意表をついたオチもある、文字通りのすべらない話でひとしきり大きな笑いが起きた後、他の出演者陣からの軽いツッコミやヤジのようなアフタートークも出終わった頃、「おそらく今の部分でこの話が終わったんだな」と誰もが感じたタイミング、次の話へ移ろうと松本さんがサイコロを取りかけたくらいのタイミングで、自然と客席からまばらに拍手が起き、そのまま大きな拍手につながっていきます。

それが今回ちょっと個人的に印象だったんですけど、完全にそれがきっかけになり、以後そのまま「毎回ひとつ話が終わる度に、客席から拍手が起きる」というシステムが自然と確立されていくことになります。

別に、それ自体は改めて考えてもそれほど特殊な現象でもないんですが、とはいえ芸人さんのトークライブで、毎回ひとつのエピソードごとに客席が拍手をする習慣があるか?というと、ちょっと無いような気がするし、どっちかというと寄席やネタ見せ形式のライブの、1つずつの漫才やコントが終わった後に起きる拍手の方に性質は近いのでは、と感じました。

前から個人的に感じていたコトとして、「すべらない話」に代表される、この形式のエピソードトーク(や、それを扱う番組群)というのは、かつてラジオ・テレビでは落語家さんが強い需要を持っていた時代があった、お茶の間では落語が高い人気を持っていた時代があったのを、それを現代に合った形に生まれ変わらせたのが「テレビで既に人気があり、パーソナリティもそれなりに知られているタレントさんが、自身が体験した実話のおもしろい話というテイで、あらゆる話芸を駆使して色んなタイプの話を披露して、それらの話には必ず最後にオチがあり、そのオチをひとつの区切りと笑いのタイミングにする」というフォーマットなのでは、と感じているのですが、やっぱりみんながこの「すべらない話」を、そういう風に1つ1つをネタとして見ている(それは決して「みんな、本当は実話というテイの作り話だと思っている」とかそういう次元の話ではなくて、誰もが「実話のちょっとした面白い話を紹介する、というテイで、かなり磨き抜かれた『ネタ』を披露されている」という意識を持っているんだな、という意味で)のかな?と感じました。その辺の意識の違いが、拍手という行動に現れたのかな?というか。*4

 

松本人志の変容

最初の話を皮切りに、あとはテレビで観た通りの、あの「すべらない話」が、全くそのまま目の前で展開されていきます。筋書きがないから同じ人が3連続で本当に当たってしまうサイコロも、クドければクドいほど悪い笑いが増幅していく小籔さんのトーク術も、今日一番の誰もがビックリするようなオチが最後に待っている話をぶつけてきたジュニアさんの話芸も、下ネタと擬音をフルに駆使して笑いを持っていく大輔さんも、今日の出演者陣の中でもさらに群を抜いて綺麗なオチやホントに達者な語り口の中にも独特の視点の悪さというか切り口のイジワルさが光る兵動さんの話し方とか、全てがテレビのままだし、ライブ形式の初回というテンションの高さや空気の良さもあり、本当に「すべらない」時間があっという前に過ぎていきます。

「これ、今で何分くらい過ぎてるんかなあ?」途中で松本さんが口にしました。

「1時間20分ですね」確かジュニアさんが答えたと思います。この時、自分は体感で1時間も過ぎてないと感じていたし、会場からも大きなどよめきが起きました。

「これ何分のイベントなん?」松本さんが尋ね直します。

「90分!?もう全然時間ないやん!」すぐにスタッフから時間が告げられ、この時に初めて客席でも今日のイベント時間が90分というのを知り、軽い「えー!」みたいな声が上がります。

そこからの松本さんは「時間ないなあ」と何度も言いながら、全員が最低でも2回ずつは話せるように順番を回し、何度も「まだ行けるよね?」「もう1回行けるかな?」と確認しながらサイコロを振り、最後前には自分ももう1度話し、最後の最後の出目は宮迫さんで「で、ドア開けたら親父がひとりでオナニーしてたんですよ(笑)」というオチの話で「こんな最後イヤやー!」と叫び、結局2時間近くまでイベント時間を引っ張られることになります。

この時の松本さんの感じ、けしてお客さんに何か擦り寄ったわけではないんだろうけど、かといって「90分は90分や」といって時間通りでイベントをシメるような感じでは決して無く、しきりに「ジュニアもう1つくらい喋ろか」「小籔まだ1回しか回ってないやろ」「自分ももう1つ喋りたいなあ」と気を回している感じとか、決して昔の松本人志だったらありえなかったような、結婚して家族を持った頃から、ある種の変容が感じられることが少なくなくなったと思う、そういうモノを感じたような気がします。トゲが無くなった、丸くなったというのでもなく、でも松本人志という人は以前と比べたら確実に人に優しくなった。優しくなることに臆しなくなった。と思う。

 

最後は軽いエンディングトークと(なぜか)サインボールを客席に投げるというサービスの時間があり、ちょうど約2時間でイベントは終了。

決して今の自分はいわゆる「松本信者」とかダウンタウンの熱狂的ファンというポジションではないし、今までの人生でもそんな位置に居たことも殆ど無いけど、とはいえ現在の30前後の日本の男性なら松本人志という人に何かしらの影響を与えられていない人なんて絶対に居ないし、自分だってボンクラながら中学生の頃とかに「寸止め海峡」とかビデオで見ながら「いいなー」とか思ってたし、そんな人と同じ場所にいて、画面越しではない目の前で話していて、なんかそれだけで全く特別な時間だったし、幸せだったなーって感じでした。

何はともあれ、いい一日でした!また頑張って生きようと思った。(・w・

*1:今回の尼崎を皮切りに、1年かけて全国7箇所ほどを回る予定だそうです

*2:今日に関しては、立見券なら開演前に来れば普通に購入できる感じでした

*3:敬称略でテンダラー浜本、宇都宮まきりあるキッズゆうき、スーパーマラドーナ武智、ジョニーレオポン河内、ゆりやんレトリィバァ、雷ジャクソン高本の7名。実際にライブ中にはテンダラー浜本さんとりあるキッズゆうきさんが指名され、残りの5名については終演時にスーパーマラドーナ武智さんが「10秒で終わるエピソードトークあるんでそれだけ聞いてもらっていいですか?」と切り出したのをきっかけに、全員が超ミニサイズでエピソードトークを披露されました

*4:まあ、単純に「ひとつの区切りとして拍手はするだろ」という考え方もあるとは思うんですが。汗