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超・奇天烈コントライブ『不思議な時間』

なんばグランド花月の3月18日の夜公演「超・奇天烈コントライブ『不思議な時間』」を観に行きました。

 

出演は天竺鼠・シソンヌ・日本エレキテル連合の3組。今までには関東で2回開催されていて、今回が関西では初めて。

個人的にはシソンヌは「月刊コント」で少し、日本エレキテル連合は「タイタンシネマライブ」で観たことがある程度で、関西に住んでいながらにして、各コンビの営業や勝負ネタじゃない、コアな部分のネタをナマで観れそうな機会ってなかなかないし、今回のライブは色んな意味でけっこう楽しみにしていました。

 

開演前で、850席超のなんばグランド花月が完売こそしていないものの2階席の奥の方までほぼギッシリ埋まっているのが見られます。客層は男女も老若男女も様々で、ちょっとパッと見ても統計取れそうにない感じ。純粋にちょっと濃い目のお笑いファンで来てる人も多そうだし、普通に吉本の劇場に大阪のお笑いを観に来たという人、またエレキテルを観に来てる友達や家族連れの人達というのも少なくなさそうな感じ。

 

ほぼ定刻通りに開演、オープニング映像*1のあとに、まずシソンヌ、日本エレキテル連合天竺鼠の順番で2本ずつコントの上演から始まりました。

ここでは時系列ではなく、各コンビずつに簡単なコントの紹介(ネタバレにならない程度に)と、個人的な感想を残していきます。

 

◎ シソンヌ

 

1本目「祭り」

あらすじ:久しぶりに訪れたおじさんの家で、ちょうど明日には村の祭りが開かれることを知らされる。しかし、その祭りは…

2本目「機種変更」

あらすじ:男が自分のガラケースマートフォンへと機種変更しようと入った携帯ショップで、スマホの在庫をがないことを告げる女店員は代替として、とある電話機を提案する。

 

いきなり言う感想じゃない気がしますが、長谷川さんはデカい。と思った。

wikipediaによると185cmらしいです。自分の目は180cm台後半の人を舞台で見ると「デカっ」と思う傾向があるようです。閑話休題

どちらのコントも割と穏やかな始まり、スタンダードな「ツッコミ役の男がどこか(田舎の村のおじさんの家、携帯電話ショップ)を訪れて、そこに現れたボケ役(おじさん、女店員)が常識から外れた対応をして、それにツッコミが翻弄されながらも的確にツッコんで笑いに変えていく」というコントをしている、と思うけど、それにしてもボケ側のじろうさんのキャラに対する憑依、というか、方言や女性の口調の言葉遣い、衣装やメイクなどの外見、そしてぎこちなかったりクネクネしたりする動き、あらゆる面から自分の演じるキャラを徹底的に作り上げてる感じがスゴくて、それに対してのツッコミの長谷川さんはごくプレーンな男役で、常識的かつキレキレの言葉のセンスとタイミングでバシバシとツッコミ返していく感じとの対比がすごく鮮やかで小気味いいな、と感じました。

あと、今回のネタの世界観が2本ともたまたまそうだったのか、それともシソンヌの持ち味なのか、どちらも長めのネタ時間*2の中で少しずつ常識から滑り落ちていく感じ、初めは「10時間ってことは…10時間前か?」みたいな軽いノリの冗談みたいなボケだったのが、徐々にエスカレートして、最後の方には「今までなんとなくみんなルールは守ってたんだけど…」「これは革命だぁ!一発で殺せる」みたく、とんでもない話になっている、ゆっくり気がつけば深いところに引きずり落とされていくような感じがあって、それも観ていてたまらなかったです。

 

日本エレキテル連合

 

1本目「感動の再会」

あらすじ:2年前から連絡がとれなくなった「龍ヶ崎ジョー」に会いたいという女と、その女のために龍ヶ崎ジョーを探したという番組の司会者。再会はできるのか。

2本目「歩く女達」

あらすじ:東京中を「歩くのが仕事」だという女達の会話。

 

率直に言って今回一番楽しみだったのはこの人達で、その理由はシソンヌも天竺綿も自分がよしもとの劇場のライブに通っている限り、大阪でも祇園でも今後も観られる機会はあるだろうけど、この人達は(まして関西で、それも本ネタとなると)ホントにこの先ここで観とかないと自分にはもう、機会があるかどうかもわかんないな、と思ったのもあって。

あと、単純に「今、この人達のテレビじゃ出来ないネタ」は、観たい。と思ったのも大きいです。とにかく、なんやかんやで今回「観たい」欲が強かった人達。

 

さっきのシソンヌが、ネタの中で常識から外れる度に、観ている側が「えっ」て思うような、ギョッとするような言動をじろうさんがする度に、長谷川さんは必ず間髪入れずのタイミングでキレキレの言葉でツッコミにして笑いに変えて、世界を常識に叩き戻してくれる、観ていてちゃんと毎回安心させてくれるのに対して、こっちは一貫してやり散らかしていく。ふたりともが常識から外れていく側だし、観ている側がそれをイチイチ胸の内でツッコんでいても間に合うようなものですらない。どんどん世界が散らばっていく、崩れていくのを静かに楽しむ、というか、声も立てられずに笑っていくしかないような感じ。個人的に今回いちばん笑ったのは天竺鼠だったけど、一番印象に残った(というか、消化しきれずにいつまでも頭に残る)のはエレキテルの2本目でした。

そんな、本当にメチャクチャで、どこにも取っ付きどころのカケラもないようなコントをしている人達のようにも思えたけど、そんな中でも「今回スタッフが日本中をくまなく探し回りました。国後、択捉、歯舞、色丹、尖閣諸島竹島…」「あさま山荘」「マクモニーグル氏」「8.6秒バズーカー」みたいなワードを選んでくるヘンなところに尖りながらポップな感じや、依頼者の女のどうしようもない挙動不審さ、歩く女達の執拗すぎる化粧と、その足元に並べられたボロボロの大きな紙袋などに連想される「別に具体例を知ってるわけじゃないけど、いかにも「確かにその辺に居そう」って感じがする、街角に存在するアウトな人たち」への再現性や執着がすごすぎる感じ、そして2本目の「歩く女達」のコントの後、3組で即興でユニットコントをする企画があったんですが(企画については後述します)、その時にも二人は2本めのコントの衣装のまま(それも化粧を落とすどころか、さらに顔中に塗り増して)登場し、中野さんに至っては即興コント内のキャラまで2本目で演じたキャラが延長線上に出演してきたような台詞を持ってくるなど*3、随所で観てる人の心を掴んでくる、「この人達の世界をもっと知りたい!」と思わせる、そういうフックがやたらに多い人達だな、とも感じました。そして、きっとこの「つかみ所の全くないコントをしているのに、世界観を見渡すと気になるところ、もっと知りたいところがいっぱいある」という不思議な感じこそが、今のこの人達のコアな部分の人気を掴んでいるんだろうなあ、とも。

あともう一つ、一番気になったのが、舞台で観る橋本さん*4が、テレビで観ている時よりも「相方に言われたままに動くだけの人」感がすごかったこと。本当に一貫して中野さん*5がコントの世界や台詞回しに関する部分などは一貫して作っていて、完全なる指示の上に動いているんだな、というのが感じ取れるくらい、観ていて舞台の上に「ひとり分の世界観」しか存在していない、確かに二人の人間が居て言葉のやりとりをしているのに、そこに存在する意思や哲学は一人分しか存在していない、ひとりの人が自分の特徴やクセを完全に映しこんだコピーとコントをしているような、そんな不思議な空気感がありました。

(ちょっと伝わりづらいかもしれないですが、ハロープロジェクトの人達の歌を聴いている時に、「恐らくこれ、つんくさんがデモテープ歌ってたんだろうな」って感じてしまう位に女の子の歌い方までつんくさんの歌い方になっている時の「これはこれでいいのか…?」って思う違和感、あれに近いような感覚を覚えました。)

これはいわゆる「ネタ書く方と書かない方の関係」とかいうのとも違って、普通ならネタ書く方と書かない方が完全に分離していても、ネタを書く方は書かない方の相方の固有の人間的なクセや特徴、個性は尊重して、それに合わせるようにネタを書いていると思うけど、エレキテルの場合はせいぜい「相方は自分より体躯が大きい」「声色が少し違う」くらいしか尊重しないないのでは、と感じるくらい。あとの個性や性格のような部分は一切何も残させず、自分の世界観をまるごと流し込んでいる、流し込まれている、そんな関係性のように自分は感じた。

そこに対してどんな印象を抱くか、どういう風に見るかは人の数だけあると思うし(そもそも自分の見立ては自分だけのもので、そうでもないのかもしれないし)、良いとか悪いとかいう話をするものでもないと思うし(現にその形で大成功しているんだし)、ただ、あまりに「ここまでの関係性はなかなか観たこと無いなあ」と思って、すごくビックリしました。

そこまで自分を相手に飲み込ませるか、というのと、そこまで自分を放り出して他人を受け入れて合わせられるか、っていうのと。そこにどんな思いを抱くのも、自由だとは思います。個人的には惹かれた。

 

天竺鼠

 

1本目「歴史の授業」

2本目「ボクシング」

 

もうホントにめちゃくちゃ笑った、今回一番笑ったのは天竺鼠でした。

もはや2本ともあらすじの必要もないし、ネタの内容や世界観とか関係性の言語化されもさせられないような(「ボクシング」に至っては、もはや瀬下さんの顔芸だけで時間を持たせるようなコント!)、ただただ「こういう状況でこういうことをするとオモロい」「しかも、ずーーーーーーーっとそれだけを二人でやり続けるとオモロいだろう」というアイデアだけで延々と見せられ続ける、それだけで前2組に負けるとも劣らない笑いを取ってしまうアホさとカッコよさ。

天竺鼠の中でどういう計算があったのか判りませんが(観ているこっちとしては「シソンヌも日本エレキテル連合も、すごく作りこんだコントを持ってくるコント師だから、というのを意識して、敢えて逆を行ったのか」とか想像してしまうけど、それすらも野暮なのかもしれないし)、ただただ2本ともめっちゃくちゃ笑いました。

 

◎ コーナー「即興シャッフルコント」

 

3組×2本ずつで1時間強のコントの後は、軽いコーナー企画がありました。

まずは全組での軽いトーク。「このライブでは各自普段やらないネタをやってる」「もし(気持ち悪くなって)帰りたくなった方は帰ってもらってもいいですよ?」など。

天竺鼠とシソンヌは衣装から普段着に着替えて出てきたが、エレキテルだけコントの格好のまま。さっきより化粧がどぎつくなってる。

川原「さっきより仕上がってるやん」

エレキテルのコントについて。

川原「一番「不思議な時間」だった」「何をやってん?w」

長谷川「ソデで見てて悲しくなった」「(登場人物に対して)何とかしてあげたくなった」

川原「なんで自分らテレビに出れてるん?」

中野「わかんない」「掘り起こすな!って思ってる」

他にも天竺鼠のボクシングのコント内での仕組みの話や、それぞれの「キャラはモデル(となる人物)が居るのか」といった話など。

 

そして企画の即興シャッフルコントへ。ルールとしては

・3組のコンビを分解して3人×2チームにして先攻と後攻に分け、

・先行は後攻の、後攻は先攻のチームのコントの「設定」「絶対に言わないといけない台詞2つと、オチの台詞1つ」「登場人物の配役」を指定する

・指定された内容で、準備時間ほぼゼロでコントを開始して、なんとか完遂させる

といったようなもの。

 

クジで振り分けた結果は先攻が「シソンヌ長谷川・エレキテル橋本・天竺鼠瀬下」チーム、後攻が「シソンヌじろう・エレキテル中野・天竺鼠川原」チームに。ホントに偶然ながら3組全てがネタ書く方と書かない方が完全に分かれてるコンビで、うまいこと「書かない側」と「書く側」だけが集まってしまうチームが作られてしまう形に。

各組のコントの詳細などの記録はさし控えますが(ただ、ネタ書いてないチームの3人のコントは誰も話を進めようとせずに延々とパスだけが続いてすごいグダグダして、その押した時間を取り戻すように、ネタを書く側チームの3人のコントは一瞬で設定を全部使い切って終わらせにいく超ショートコントだったのは記録しておきます)、個人的にはシャッフルコントも良かったけどその合間の「ネタ書かない3人」「ネタ書く3人」だけが舞台に残されて相手側のコントの開始を待ってる時の短い会話も楽しかったです。

(以下、なんか印象に残ってる部分のメモ)

・川原さん、中野さん、じろうさんが3人とも話を振り出せずに黙りこむ度に、じろうさんがワザとらしく明るく「ハイ!そういうわけでね~」と仕切り直そうとするノリ

・「ここ3組ともコミュニケーション能力に問題がある、楽屋でも誰も話してないし目も合わせてない」

・「吉本さんはいい劇場ですよ、前に小道具のクワを忘れてきて「クワってありませんよね?」って訊いたら、すぐに「どっちのクワにしますか~」って、先の割れてるクワと割れてないクワを持ってきて貸してくれた」

・「あっちは3人ともネタ書ける方だけど、その分3人とも個性が強いから、逆にぶつかり合って大変だと思う」

 「まぁ俺らも3人とも無個性同士でぶつかって、別に何も生まれなかったけど」

 

 

そんな風に色々あって、計90分とちょっとのライブでした。

時間にすればけして長くなかったけど、内容の濃さがすごかった気がするのと、個人的にはコントよりも漫才やトークやゲームコーナーものとか大喜利のライブを観に行ってることが多くて*6、個人的には「がっつりとしたコントのライブを観る」ってあまり今までに経験してなくて、「コントって漫才よりもテレビで観る時との体感の違いが大きいな*7」と改めて思うような、すごく今までに使ってない頭の部分を使いながら観たような、そんな新しい楽しみを覚えたような、あと、天竺鼠はもちろん、シソンヌと日本エレキテル連合もいつか単独観に行きたいな。と、ホントにそういう興味を持てるきっかけになるライブでした。

今後も各地を3組で回っていく予定みたいなので、機会があればぜひ!

*1:いわゆるお笑いライブでよく見られるような、音楽が流れ、出演者名が順番に表示され、最後に公演タイトルが表示されるタイプの映像なんですが、今回のなかなかに不穏なタイトル、不穏なメンバー、今からどんなライブが始まるのか想像しきれない観客の期待を煽るような、なかなかサイケでかっこいいVTRでした。DVDとか出る時があれば絶対入れといて欲しい

*2:特に測ったりはしていないものの、恐らく3組のどのコントも10分前後のサイズだったと思われます

*3:これに関しては自分が勝手にそう感じただけかもしれないですが、2本目のコント内で「人の指輪を奪ってでも欲しがる」女が、即興コントで本来はお金を要求すればよかったはずの役どころなのに「ジュエリーを持ってこい!」って言ったのは、きっとそういう(繋げてくる)意図があったのかな、と自分は感じました。

*4:いわゆる朱美ちゃんの側の人

*5:いわゆる細貝さんの側の人

*6:今まであまり意識してなかったけど、改めて振り返るとそうだったなと思った、ヘタしたら「月刊コント」以外でコントライブって自分は殆ど観てきてないような気さえする

*7:なんか、漫才やピン芸は基本的に、観る側の視点は演者自身やセンターマイクからそんなに動かないと思うけど、コントを観る時って演者はもちろん、背景とか衣装とかセリフを喋ってない側の受け答えしてる時の仕草とか、自分で好きに視点動かしていいってなったら、なんかあちこち見ちゃうな、って今更にして思った