足跡の中を旅してる #001 / Swinging Popsicle "サテツの塔"


サテツの塔 - Swinging Popsicle

たしか、一時「ナインティナインのオールナイトニッポン」のエンディングテーマだった*1ので、このバンドに覚えがなくても、そこで聴き覚えのある方もいらっしゃるかと思います。

自分もこのバンドはこのシングルと前後のアルバム以外はそこまで詳しく知らず、強い思い入れもあるとは言えないんですが、この曲は今でも大好きだし、今聴いてもただただ「いいな」と思う。いわゆる「渋谷系」カルチャーの最後期、流行りものやファッションアイテムとしての渋谷系はほぼ撤収していて、それでもこのタイプの音楽が好きな人達だけがやり続けていて、徐々に「ネオ渋谷系」に移行していった時期に残された、ものすごい佳曲。

一生飽きずに聴き続けると思うし、ずっと古くならない良さがあると思う曲。

 

 

ちなみにここからは完全に余談ですが、同バンドは02年頃のアルバムを最後にメジャーレーベルを離れ、一旦作品発表からは遠ざかるのですが、09年頃になかなか唐突に、ニトロプラスというPC向けのアダルトゲームメーカーの「スマガ」というゲームに主題歌「(a) SLOW STAR」を提供し、今も変わらず瑞々しいサウンドを再び世間に届けます。


スマガ SUMAGA OP「SLOW STAR」

さらにその数年後にはでんぱ組.incの「くちずけキボンヌ」「冬へと走りだすお!」だったり、ヒャダインさんのソロや提供曲の数々の作品群などをきっかけに「オタク的なジャンルの楽曲に、隠し味的なネタとして投入される渋谷系要素」というひとつのジャンルが作られていきますが、かつて渋谷系自体が「さまざまな洋楽や邦楽のクラシックを隠し味としてサンプリングし、音楽マニアを唸らせたり、「あの曲のこの部分は、実は元ネタがあってね…」と、したり顔で語らせるためのネタにした」ように、時代が一周して、かつての渋谷系として活躍したバンドやミュージシャンたちが今のマニアを唸らせたり、「あの曲のこの部分は、実は…」と語らせたりするための「ネタ」として再活用されるようになったんだなあ、という、そんな不思議な感慨を与えてくれるようになった、こちらはその契機のような作品だと思います。

*1:というか、オールナイトニッポンの月間エンディングテーマだったはず