「第6回大喜利鴨川杯」/あなたを待つ、あなたの知らない世界の話

来る5月18日の日曜日、大阪は茨木市茨木市市民総合センター・多目的ホールという場所で、「第6回大喜利鴨川杯」というイベントが開かれます。

主に一般のアマチュアの方を中心に、フリーやプロの芸人さんや作家さん、あるいはラジオや雑誌の世界で有名なハガキ職人の方や「NHKケータイ大喜利」でレジェンドの肩書を持つ方たちなど、様々な立場の人が集まって、朝から生大喜利の1dayトーナメントを行い、「問う、誰が一番面白いのか。」のコンセプトのもと、優勝者を決める、そんな大会です。自分も参加者のひとりとして予選を受けますし、自分が普段一緒に大喜利をやっている、メチャクチャ面白いと思うアマチュアの人達も、この日は沢山参加されます。

参加者としてのエントリーの方は既に終了していますが、11時から開始する予選、また18時から開始する本戦を観覧していただける方*1はまだまだ余裕があります、とのことで、今回はそのための(勝手に)宣伝のエントリになります。

 

◎ そもそも、生大喜利とは?

ざっくりといえば、

・市役所や公民館などの貸し会議室や、カラオケボックスなどの場所を用意して、数名~十数名程度の大喜利好きが集まり、

・持ち寄った「お題」に対して、主にホワイトボードに記入した「解答」を出し合って、笑わせ合う

・それぞれの場所によって異なったルールがあり、それぞれのルールに則ってその時々のMVPや勝者を決めたり、特に決めなかったりする

といった形式の、遊びのような、オフ会のようなもので、現在は関東や関西を中心に、東北や中部、九州などにもそれぞれいくつものサークルのようなものが形成されており、たまにライブハウスや大きなホールを使っての大規模な大会も行われている。そんな感じです。

自分自身も関わるようになってからはまだ全然日は浅い方ですが、まだまだひとつのシーンの歴史としても黎明期にあるような状況で、良くも悪くも色んな価値観やお笑いというものへ対しての距離のとり方があり、それらの団体やイベントやライブの全てが「大喜利」や「生大喜利」という一括りのジャンルで呼ばれている、そんな感じです。

(ちなみに長田悠幸先生のマンガ「キッドアイラック!」は、現在の生大喜利シーンをものすごくリアルにベースにしつつ、痛快に読める青春ものマンガとして描き上げた、現在おそらく唯一の「大喜利ものマンガ」としてすごくオススメです。)

 

そんな中で、今度行われる「鴨川杯」は「関西最大級の大喜利大会」と称するように参加者数も96名と破格に多く、関西周辺だけでなく全国各地から普段は様々なサークルや団体に所属している人達が、誰に対しても非常に公平な、ごくフラットなルールのもとで、たった1人だけの優勝の称号目指して集まってくる。

最大級かつ最高レベルの大会でもあり、普段は全国の色んな場所で色んな考え方や解き方をしている人達が一同に集まる、ショーケース的な意味合いも強い。そんなイベントです。

 

 ◎ 素人のイベントが楽しいの?

とはいえ、

「素人の大喜利なんて」

「何気取りだ」

「素人がやすやすと舞台に立つべきでない」

普段から沢山の舞台に足を運び、プロの芸に深く触れているお笑いファンの方々ほど、そういう風に思う人達が少なくないのは承知しています。

というか、多分誰しもが最初はそう思うし、今大会に参加している人達の大半も、自分が参加するまではそういう風に思っていたのではないでしょうか(少なくとも自分はそうでした)。

しかし、実情は少し違います。参加者の大半はそんな軽い気持ちの目立ちたがりの素人集団ではなく、何週間も前からこの日のことを考えては苦しくなって、気持ちを紛らわせるために何度も「優勝は俺だ」だの「もうダメだ」だのと強がってみたり弱音を吐き倒したりして、安くない移動費や宿泊費を捻出して結構な遠くから遠征して、そして当日には何ひとつ活躍できないまま5分もしないうちに予選落ちを確定させてフラフラと下がっていく、そんな傷を何度も負った人達が大半を占めています。それでもまだ諦めきれずに、また自分の中の引き出しを作りなおして、ちょっとでもウケた時の感覚を思い出して自分に火をつけて、「今度こそは」と思いながら重い足取りでやって来る、そんな人達が大半を占めています。明らかに、大喜利をすることで「満たされた量」と「傷ついた量」で言えば後者の方が多い人達ばかりです。

そんな人達が96人も集まって、(見てる人が思うよりもずっと)自分の全てを投げ打って戦っていきます。96人がまず48人になり、続いて24人になり、最後の1人になるまで戦いは続きます。そこには本当に筋書きのない、想像以上にリアルで残酷で奇跡的なブルースやドラマや笑いが、何度もやってきます。これが面白く無い訳がありません。

 

◎ そんなわけで、

「楽しいイベントなので、お笑いファンの方はぜひ観に来て下さい!」

という風には、自分は、実はあまり思っていません。

これだけ言っておいてから言うのもアレですが、とはいえアマチュアの生大喜利シーンは、いい大人が貴重な休日の時間や少なくない交通費を消化してもなお「観に来る価値のあるイベント」と呼べるものなのか、本当に一見の人が来ても満足するものなのかどうかは(客観で見れば)難しい、まだ発展途上の位置にあるかもしれない、とも思います。

同じ18日の夜、近畿圏内では他にも様々な場所でお笑いライブが開催されています。同日の夜、祇園花月ではピースのトークライブ「ギオン平和」、なんばグランド花月では「舶来寄席」、5upよしもとでは「5up漫才カーニバル」等、道頓堀角座ではうしろシティの単独「それにしてもへんな花」、他にも様々な場所で様々なイベントが催されています。それらをスルーしてまで、わざわざ茨木くんだりで素人同士が大喜利をしているイベントの方が本当に見る価値のあるイベントだと言い切るのも、言ってしまえば、本当は変な話です。

 

ただ、まだ生大喜利をやったことがない、参加する予定はないけど、全く興味が無いわけではない、少なくとも自分も面白さには自信がある、「どこぞの素人連中が勝手に内輪で面白い奴を決めあってるらしいけど、俺の方が面白いに決まってるだろ」って思ってる、そんな人。

そんな人には、ぜひ一度現場を観に来てもらいたいし、一度観に来た上で、次回は是非どこかの生大喜利に参加してもらいたいと思っています。

一緒にやりましょう。この世界には、テレビにも劇場にも出ないしネットでもアルファ的な存在でもないけれど、実際にどうしようもなくめちゃくちゃ面白い人たちが山ほどいます。

そんな人達と一度実際に大喜利をやって、一度自分の答えで誰かを笑わせてしまえば、勝てようが負けようが、絶対に抜けられなくなります。それは保証します。

 

そんなわけで、お待ちしています。(・w・

*1:ちなみに観覧のためのチケットなどは特になく、当日に会場にお越しいただいて、予選・本戦の観覧でそれぞれ499円をお支払いいただくシステムになります