螢 『ハリガネ』


螢 ハリガネ - YouTube

未だにたまに思いだして聴きたくなる曲だし、今聴いてもフシギと変な魅力があり、音楽的にも割と色褪せてない曲だと思います。

 

この曲が出たのは1999年、特にヒットした曲でもなく、ごく一部のラジオや当時の「クイックジャパン」でちょっと特集が組まれた程度だったと記憶しています。

その「ごく一部のラジオ」の1つが、自分が当時よく聴いていたオールナイトニッポンの土曜2部(DJはニッポン放送のアナウンサーの荘口彰久さん、番組自体が色んな新人ミュージシャンを特集することに特化した番組だった)で、当時がっっつりラジオっ子だった自分は、ド深夜なのか明け方なのかわからないようなこの時間に布団をかぶりながらイヤホンをつけてアンテナの先をギュッと握って、番組としてはかなり力を入れてプッシュしていたこの子の「若干13才の天才詩人現る」というエピソードの数々、ライブは毎回即完売だとか、同年代を中心にファンが急増しているとか、どこのレコード屋も注目しているとか、そんな話を半信半疑で聴きつつ、本人のめちゃくちゃ体温低そうで、DJの荘口さんに何を話しかけられても不思議ちゃんでもないけど真面目に返事をするでもない、独特の言語感覚でボソボソと返す感じ、そして最後に毎週くらいかけられてた、このフシギな調子っ外れのような歌と妙にトランシーなトラックが組み合った、ものすごくヘンだけど嫌いじゃ無かったし、自分の耳を捉えて離さなかった「ハリガネ」という曲。それらの全てを、午前4時過ぎの起きてるような寝ているような頭で「どこまでがレコード会社とラジオ局の作り話なんだろうか」「何があってこの子はこんな風に担ぎ上げられることになったんだろうか」「どこまでがキャラで、どこからが本人の素顔なんだろうか」「どんな風にして作られた曲なんだろうか」「それにしても不思議な曲だ」みたいな事をモヤモヤと考えていたのを、この曲を聴くと未だに思い出します。

 

結局、螢さんはインディーズから満を持してメジャーデビューした後にも数枚のリリースを出すものの、特にヒットはないまま活動のペースを落とし、2~3年ほどでリリースが途切れ、HPの更新頻度も落ち、そのまま静かに表舞台を去っていきます。

個人的には(すぐにラジオや雑誌は彼女から離れていったけど)割と最後まで聴いてはいたけど、突出して魅力を感じた、好きだったのはこの曲くらいで、特に後年は曲も詩もどんどん小奇麗になって、どんどん普通の「適当な詩の乗っかったアンビエント」みたいになっていった印象があります。だからきっと(活動を)止めたんだろうな、とも。

 

いかんせん他に替えのないタイプの曲なので、未だに聴きたくなるし、もうCDも持ってないけど、CDを手放すときにMDにダビングして、そのMDからPCに落としたファイルで未だにちょいちょい聴いてます。そんな曲。の話でした。